歯の移植術とは?
皆さん、歯の移植術って聞いたことありますか?
その名のとおり、これは歯を移植する手術で、
自分の歯を抜いて、他の歯が生えていた部位に移植することができます。
例えば、どこかの奥歯が割れてしまったなど何らかの理由で抜かなければならなくなったとします。
どこかに親知らずがまだ残っていた場合、
その歯を移植術に利用することができます。
なぜそんなことができるのかというと、歯の周りには歯根膜といって、歯と骨をつなぐロープのような線維が走っています。
この歯根膜が歯の移植術を成功に導く鍵となります。
歯根膜細胞が生存している状態で歯の移植を行えば、移植した部位の骨とまたロープをつないでくれ、元々歯が生えていた時の状態をつくるのです。
また、多少骨が失われていても、歯の周りに骨を作ることもできる非常にパワフルで有用な細胞が歯根膜細胞です。
なぜ、親知らずを選ぶのかと言うと、親知らずは生え方が悪く、食べ物を噛むのに使えていない状態で生えていることが多いからです。
本来であれば、歯を抜かなければならなくなってしまった場合は、その後、インプラントや、ブリッジや入れ歯などを検討しなければならなくなります。
親知らずもまた、抜いた後には何も利用価値がなく、廃棄されてしまいます。
通常は廃棄されるような歯をまた利用して自分の歯として使うことができる。それが移植術です。
私は、自分の組織を利用してまた機能させることができるこの治療法をよく採用します。
手術に絶対はないので、成功率100%というわけには行きませんし、その歯を一生そのまま使えるかどうかは条件より異なります。
しかしながら、その点においてはインプラントやブリッジ、入れ歯においても同様であり、一生使えるということはなかなか難しいです。
移植術は、どこかの歯がダメになってしまっても、再度自分の歯で噛むことができるチャンスといえます。
歯の移植術の治療期間は?
手術は、局所麻酔(注射の麻酔)で無痛で行うことができ、1回で終わります。手術時間は、麻酔など全てを含めると約30分程度です。
手術当日は、移植歯を移植する部位に縫合糸やセメントなどで固定し終了となります。
その後術後2週ほど固定期間を設け、必要に応じて移植した歯の根の治療や、土台を入れる治療を開始していきます。
歯の状態を経過観察しながら、状態が落ち着き、歯の揺れがなくなってきたところで被せ物を入れて使っていただきます。
費用は、保険が適用になることもあります。
どこか抜かなければならなくなった歯があってお困りの場合には、お気軽にご相談ください。